僕 君 誰かはいらない

昨日は彼の誕生日だった。一昨日の夜彼が来たので誕生日プレゼント買ってケーキ買って待った(流石にケーキを作るスキルも材料もうちには無いんだよなあくそぅ)。十二時になる直前に彼が寝ようとしたので一緒に布団に入った。まあいいかと思ってそのまま寝た。十二時になったときに「おめでとう」だけ言っておいた。朝六時にはもう彼は家を出る。誕生日プレゼントを渡した。それ(でかいシベリアンハスキーのぬいぐるみ←絶対かわいい)は「置いてくわ」と言われ結局僕のアパートに置かれることになった。すこし悲しい。けどまあこんなもの渡されても邪魔なだけかなあ。テレビの横に彼が置いてったので、いつだって僕はその犬が目に入る。最近、よくテレビを見るようになった。彼が来たらうちのテレビは働き出す。最近彼(テレビ)は働きづめだ。頑張れ頑張れ、と思う。彼はテレビっ子で、それが稼働しているとき、彼が今この家の中にいるんだなあと感じる。ひとりでいるときにまでぼーっとテレビを眺めるようになった。本当はテレビなんていらない。捨ててしまおうか、と思う。けど捨てるのにもお金がかかるし、面倒だ。
僕は君がいれば他には何も要らない。誰もいらない。第三者的なものすべてを排除したいと願う。それは不可能であるのだけれど、不可能なんだということに嘆き悲しむあまり、可能な限り排除したいと願う。どこかで折り合いをつけなければいけないということは分かっている。けど、真剣に向き合うにはまだ少し僕は弱すぎるので、最近は見て見ぬ振りをするようになった。そっと蓋をした。弱く、強く。彼は僕に強制するようなことは決してしなくなり、僕も家に籠もるようになった。これでいいやと思った。たまに目なんて無ければいい耳なんてなければいいんだと思う、そう思わないために自ら視界を狭めた。