一年(1/18夜資格学校にて)

一年間で僕は彼の何が分かるようになっただろうか。
彼の考えていることが分かるようになった。僕のことをどのように思っているのか。僕に何を望んでいるのか。彼の物を考えるスピードも分かるようになった。僕の望みに応える彼のスピードも推測できるようになった。彼はゆっくりゆっくりと変わっている。僕はそのゆったりとしたスピードに時折我慢できなくなりつい不満を露わにするけれど、どうしようもないことなのだと理解できるようになってきた。物を考えるスピードは急に速くはならないだろう。
彼の家族に対する想い、仕事に対する想い、彼の成し遂げてきた業績、築きあげてきた地位、積み上げてきた歴史。そこから生まれた彼の自信やプライド。プライドを傷つけられることへの嫌悪感。そこから導かれる態度。無駄な争いを避けよういう姿勢。そこから育まれる気遣いや配慮。
 さて、ではそこで僕がすべきことは何か。僕がどう動けば彼がどう動くか。把握できるようになってしまった。不確実性下の意思決定や問題解決は、その問題の本質を見極めて適切にモデル化し、オペレーションズ・リサーチ(問題解決を支援する科学的手法の体系)的アプローチを実践することによって分析し解決することが出来るだろう。問題は僕が今何を望み、どうしたいのかだ。そしてそれは明確に僕の頭の中で計画立てられている。――まあ、失敗は付き物だけど成功目指して日々を営むしかないだろうなあ。そううまく事が運ぶはずもないしさ。