「I'm sorry,mama」桐野夏生

ISBN:4087747298
何とコメントして良いのやら。テスト直前だというのに一気読みしてしまった。どうしようも無く救いようの無い境遇、どうしようも無く救いようの無いラスト、人はどこまで堕ちられるのか。「グロテスク」、「残虐記」とこの「I'm sorry,mama」を合わせて三部作と巷では言われているらしいが全二作が実在した事件を扱った社会派小説(エンターテイメント性も当然アリ)であったのに比べ当作品はそれもない。非常に読みやすいがなんとなく物語の内容も薄い。であるとしたら、何を感じ取るべきなのか。それは“或る境遇”に在る、“或る人間”の心情に他ならないと思う。人間の黒さ、どろどろとした部分をこの三部作で余すことなく書いたと思うけれど、今作品は訴えかけるものがいまいち無かったかなあ、と思う。ちょっと残念だ。