「白蛇教異端審問」桐野夏生

ISBN:4163667008
桐野夏生の初エッセイ。ネットで見て回ってみたら妙に評判が良かったので買ってみた。なるほど、なかなか面白い。(すごく面白いとも感じなかった)ただ、やはり自分はエッセイを読むのが苦手らしい。そこに書かれているのはノンフィクション、掛け値なしの現実であって、どうした訳か読んでいて落ち着かなくなる。それは多分、想像力を持て余してしまうせいだろう。小説は基本的に読者へ呼びかける。そのために小説はあると言って良いと思う。逆にエッセイはどちらかと言うと自己完結的だ。それはエッセイを書くものがイコール主人公であるからに他ならない。ダイレクトに書かれているため、何だか読んでいて「それは違う」と思うことがあれば、「作られた登場人物」に対してではなく「筆者本人」に対する非難になってしまう。という風に思うと何だか気が滅入るのだ。それでもエッセイを読んでいて良かったと思うのは、作者がどのような姿勢で小説を書いているのか知ることができるという点だ。
そもそも日記なんてのは推敲の浅いエッセイのようなもんだ。なんだかこんな駄文にまみれた日記を書いていて妙に恥ずかしくなってきた。